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Fifteen Rebirth-生まれ変わり-



―――――泣かないで―――――


―――――嬉しかったから――――――――


―――――ねぇ…笑って――――――――




―――――だって、救われたんだよ、私――――――




================
Fifteen Rebirth‐生まれ変わり‐
================








第八話





「もう、見えるだろう?」

現時刻、23:57分。
シイル手前。

「あれが、預言者のいる場所だ」

目の前に続く上り坂を示し、そう語りかける。
その者の体は、夜目にもまぶしい白銀に輝いていた。

「預言者さえ倒せば、我らの勝利も同然だ」

そう言って、白銀が笑みを浮かべる。
その顔は、邪悪が似合う。
決して、体色とは相容れない質のものだった。

(…ホント、敵で無くて良かった、魔王様が…)

同行した、砦での隊長クラスである褐色の竜人の一人は、心底そう思った。
上り坂ももうすぐ終わる。
あとは街手前の、両側が崖に挟まれた細長い道を抜けるだけだ。
そう思っていた。

目の前に何かが見える。
道の入り口に。
まるでふさぐように。

紺色がそこに立ちふさがっていた。

「…そこで何をしている?」

白銀が、そう問いかける。
紺は、答えない。
代わりに、両腕を紺のマントから出す。
それは、鍵爪だった。

「…ニンゲンごときが…何が出来る」

白銀が吐き捨てる。
それでも動かない。

「…やれ」

その合図にハッとした。
やらなければならない。
そして、腰に差してあるロングブレイドを抜き放つ。
驚いた事に、自分を含め6人の小隊長クラスの竜人全員の抜刀音が重なった。

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

雄叫びを上げながら突貫していく。
相手がニンゲンならば、十分それでいける。
たった一人。
間違いなく倒せる。
振り上げた剣を振り下ろしながら、そんなコトを考えていた。


ドクン


それが最後に自分が考えたことだった。

気が付けば。
視点は地面。
生暖かい感触が首あたりから広がっていた。
何かを思うより前に。
視界が暗くなっていった。




     #




倒れ伏した赤。
その数、六。
その中央に、相も変わらず紺が直立していた。
その紺を、返り血で真っ赤に染めて。

「…まさかニンゲンが…」

白銀は少々驚いたようだった。
が、すぐに得心したような顔をする。

「…そうか、砦を落としたのは貴様だな?」

そう問いかける。


ドクン


「…だったらどうした」

今度は返答した。
初めて聞くその声。
低い、それでいてはっきりと聞こえるその声には、情のかけらも無いような声だった。

「ニンゲンごときが、調子に乗っているようだな…だが、それでは私は倒せん」

そう言って構える。

「さぁ…後悔するが良い!!!!」

それが、開戦の合図だった。




     #




『来ますよマコト様!!』
「……っあぁ!!」


ドクン


鼓動が一つ、高鳴る。
銀の大トカゲの動きが見える。
頭上から襲う爪撃をかわす。
その流れのまま、腹部へと。
腕に付けたクリムゾンクロウが火を噴く。

が。

「何っ…!!?」

もうすぐ皮膚へと届く、と言うところで弾かれた。
何も無い空間で。
しかし、届いたものはあった。
鍵爪から出ていた、あの炎。
それだけが届いたのだ。
あっという間に炎に包まれる白銀。
しかし、その猛火の中から、ありえないことに腕を振るってきた。

「くっ…!」

慌てて飛び退くマコト。
しかしかわしきれず、肩のマントに線が入る。

「な、何だ今のは!?弾いたぞ!!?」
『マコト様!あれは結界です!!』
「結界!?」
『はい、物理的攻撃を無効化するフォースです!!』
「な、何!?しかし、フォースの発動なんて全く感じなかったぞ!?」
『どうやら、平静時から常に展開されているようです…』
「と、言う事は…フォースしか効かない、ということか?」

しかし、あの猛火の中から平気で爪を振るっている。
効きはするが、効果は薄いと見たほうがよさそうである。

『欠陥はあります。急所に入れば結界を無効化できますが…』
「難しいよな…」

手がふさがった。
それでも諦めるわけにはいかない。

「…話は終わったか?」

そちらを向けば、ほぼ無傷の白銀が立っている。
魔王にも、トーテムであるスケイルの声は聞こえていた。
並みのトーテム能力者を屠ってきたほどの魔力の持ち主。
トーテムの声が聞けないはずは無かった。

「意味は無いと思うが、名乗っておこう。
私は“真の魔王”――――貴様らを破滅に追い込む者だ」

そんな宣言を、高らかとやってのける。

「ふざけるな…」

そんな大きな存在に、マコトは。

「貴様は…貴様は…」

真っ向から立ち向かう。

「俺が倒す!!!!」




     #




   ドクン



降りしきる雨。
ところどころに焼け焦げた跡。
転々と付いた小さなクレーター。
その中に、いた。
銀と、黒が。

「ぜぇ…ぜぇ…」

息を荒げているのはマコト。
その全身には、切り傷が大量に刻まれている。

「どうした…一人前なのは威勢だけか?」

そんな挑発をするのは、真なる魔王。
殆ど傷は無い。火炎で蓄積された微細なこげ跡が所々にあるだけだ。

相手の爪撃は威力はあるが、マコトにとってはかわしやすい。
その隙を突いてクリムゾンクロウで攻撃。
爪自体の攻撃は結界に弾かれるが、付属的に出てくる火炎の効果で少しずつだがダメージを与えていた。
だが、結界に弾かれたときの反動が厄介だった。
一瞬だけ体バランスが崩れ、反撃の雷光をかわしきれずに食らってしまう。
一撃でやられるほどではないが、かなりのダメージであった。
しかしクリムゾンクロウの火炎の効果を出すには、結界であろうが“相手に当てる”ことが必要である。
つまり、“結界に弾かれ”なければならない。
他に攻撃手段が無い以上、それは避けては通れない。
攻撃しては反撃をくらい、その傷を治癒で回復する、という繰り返し。
ジリ貧だった。
それを既に一時間以上も繰り返しているのだ。

「クソッ…」

愚痴をこぼしてもしょうがない。
理力が底を尽き始めている。
あと何度『治癒』が出来るか分からない。
そう思いなおしたマコトは、再度取り掛かった。
『雷光』
頭に響いたその声を認識し、稲妻を視認する前に動く。
あの広範囲に渡る攻撃を確実に避けていく。
それだけでも本来は十分過ぎるほどにマコトの強さは分かる。

ガキィン

弾かれる。
そして、猛火が魔王を包む。
はずだった。

自分の目の前を、金属が舞っていた。
それは爪。
折れた、爪。
クリムゾンクロウの、酷使した装備品の成れの果てだった。
あまりの驚きに呆然とし、一瞬魔王から意識を外してしまった。

『マコト様っ!!!』

スケイルの呼びかけに気が付いたときには、既に目前に爪が迫っていた。

ズン

深々と食い込む爪。
飛び散る鮮血。
あの強大な爪の攻撃を、まともに受けた。


ドクン


回復する間も無いような深手。
致命傷だった。

(死ぬ…のか……?俺は…)

死ぬ。
考えた事も無かった言葉。
考えたくも無かった。

(守れない…?)

守るべきものが守れない。
そういう事になってしまう。

(いやだ)

そして、それらが感じられたとき、初めて恐怖した。




(いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ)


ドクン




     #




   ドクン


ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ 

「な、何なの!?誠、誠!!!」

片瀬 誠の病室。
それまで安静にしていた誠の容態が、急変する。
心拍数は倍ほども跳ね上がり、彼の体が激しく痙攣し始める。
瀬田 綾香は、急激な状況の変化についていけない。
ただオロオロとするばかりである。
しかし、急変するといっても尋常ではなかった。
体自体が保つのか怪しいと思えるほどの痙攣である。

「そ、そうだ先生を!!」

ようやくそのことに気付き、連絡する。
しかし、連絡を受けた医師が駆けつけたときには、痙攣も心拍数異常上昇も収まっていた。

これ以降、同じ症状が発祥し、すぐに治まる、といった事が幾度か繰り返された。
しかし、その原因については、未だに不明である。
分かったのは、それを繰り返すたびに患者の体調が崩れていった、という事実だけであった。




     #






   ドクン


シイル手前。
未だ降り続ける雨。
出来た血溜まりを、洗い流すように。

『マコト様、マコト様ァーーーーーー!!』

必死に呼びかけるスケイルの声も、届きはしない。
腹部にバックリと開かれた傷跡から、ドクドクとどす黒い血が溢れ続けていた。

「……」

魔王はそれを一瞥すると、無言でシイルへと向きなおした。
もう、死んでいる、と。
そう思って。
だから、気付かなかった。

『マ…マコト………様…?』

スケイルの、疑問符が聞こえるまでは。
そして、気付いた。
何かしらの強大な力が、背中越しに伝わるのを。

「……なぜ、その傷で立ち上がれるのだ」

振り向かずに問う、その先。
マコトが、立ち上がっていた。
ゆっくりと振り向く。
そして視認したマコトの姿に驚いた。

「…あ゛…あ゛…あ゛………あ゛あ゛…………」

立ち上がったマコト。
体は揺れて、軸が安定していない。
その口からは時折どす黒い血液を吐き出され、もはや声ともいえない音を出していた。

(意識は…ない、か…)

この傷から察するに、そう判断するのは当然だろう。

「…さすがに、幾ら私でも痛々しいな…すぐに楽にしてやる」

そう。
慈悲の心が、魔王にすら浮かぶほどに。
その心から、大きく振り上げた腕を、マコト目掛けて振り下ろした。

ドグシャ

「かっ…あ……」

しかし。
食い込んでいたのは爪でなく、拳。

「……」

物理攻撃を無効化する、結界。
その結界すら貫いて。
爪を紙一重で交わしたマコトの拳が、魔王の腹部にめり込んでいる。


   ドクン


顔を上げたマコト。
そこには、鮮やか過ぎるほどの真紅の双眸が光っていた。




     #




(マコトさん…だめ…“それ”を使っては…)
(“それ”は、貴方の“この世界”での存在の要……!)
(貴方の…“元の世界”との繋がり…!!)
(“それ”を失えば、貴方は…!!)


   ドクン


熱い。
体が、焼けるように熱い。

視界が、赤い。
まるで、赤いフィルムが目の前にあるようだ。

だが、体が軽い。
自分という存在が、無いかのように。

(何故だ…?)


   ドクン


まぁ、いいか。
分からないものは深く考えたって仕方が無い。
今はただ、ただ…
魔王が、憎い―――――

殺す。
殺す。殺す。

「ああアあぁアァあァアアああああ!!!!!!!!!!」

殺す殺すころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス

『あの…ま…マコトさ―――』
「だまれ」

怯えた相棒を、遮断。
聞こえてきた雑音を、遮断。
脳内全不要情報、遮断。

最優先事項:『真なる魔王の抹殺』

血圧 最大114 最低91
心拍 271/m
身体稼動率 171%
現時点成功確率 81%

(執行)


『雷光!』

光がほとばしる。
あらゆる方向に向かって。
彼には見える。
それぞれの光の行く先が。
先ほどから、遅すぎる。
視認してから、彼はかわす。
もうすぐ魔王。
跳躍。

「ぬん!!」

気合と共に爪を振るう。
それを見てから、マコトは体を捻る。
それだけで、回避。
そして、拳を叩き込む。
メリ
魔王の顔面が嫌な音を立てる。
そしてぐらつく。

(執行)

そして着地様に回し蹴りをぐらついた魔王の腹部に向ける。

「ごふぁっ…!!」

綺麗に入った。
ミシミシと骨がきしむ音がはっきりと聞こえた。
さすがに倒れる魔王。

(執行 執行 執行)

そこにのしかかりさらに追い討ちをかけ顔面を何度も何度も殴る。
最早結界の効果など意味を成さなかった。
マコトの拳から繰り出される攻撃は、全て急所を突いていたのだ。

「げ…が…い、いた…ごっ!」
(痛い…だと?)

ゴキ

(この程度で…)

ゴス ゴキ

(…何人殺した…?)

ベキ

(どれだけの人を傷つけた?)

ゴシャ

(あんな良い子を、傷つける?)

グシャ

(ふざけるな)

メリ

(そもそもどこから湧いて出た?)

メショ

(貴様こそ異端、過ち、世界の異物)

ゴリ

(貴様は俺が、抹消する―――)

グキ

(死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね )

グリュ

(汚物を撒き散らして、死に絶えろ!!)

ゴプッ

違う音が混じった。
気になって、少し回りを見渡す。
すると。
自分の口から、血液が漏れていた。
大量に。

「が…あ、はっ……!!」

そして、自分の腹部には、深々と魔王の腕が突き刺さっていた。

「…我を…ここまで…追い詰めた、のは……貴様、が…初めてだ…」

息も絶え絶えに、しかし言う事はデカい。
顔面が原型が分からないほどに歪み、脳は揺れているにも関わらず。
マコトは、失策をした。
憎しみに身を任せる余りに、馬乗りになって殴り続ける、という雑な攻撃をしていた。
魔王という、脅威・恐怖の存在に対して。
あまりにも愚かな行動。
浅はかな行動。

「だが…我の勝ち、だな…」

その報いが、これだ。
マコトの瞳から、赤い光は消え失せていた。

ゾブリ

刺さった爪を引き抜く。
ゆっくりと、マコトは倒れた。

「あ…あぁあぁぁぁぁぁぁ…」

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
精一杯絞り出そうとした声。
しかし出てくる声は、声でなく、音だった。

「まだ…あの街を滅ぼす力はある…さらばだ…」

そんな声がした。
反論しようとしたが、声を出せずに意識が遠のいていく。



どこかで、人の叫び声が聞こえた…気がした。




     #




フワフワと浮かぶ鉱石。
瓦礫の山。
ところどころに付いた血痕。
その血を洗い流すように、未だ雨は降り続いていた。

「……」

浮かぶ鉱石の隣に、誰かが立っている。
その姿にはまるで覇気が無い。
ただ立っている、そんな状態だった。

『……結局、守れませんでしたね…』

フラフラと歩み始める。
スケイルが何か言っていたが、何を言っているのか認識は出来なかった。

『あの魔物…魔王って言ってましたっけ…勝つためには、特殊な戦術が必要ですね…』

その声にも反応せず、フラフラと歩いている。
街に入って右側。

『何で何も言わずに結婚したんじゃ!!』
『いいじゃない!!結婚したら挨拶に来たんだから!!!』
『結婚してから挨拶に来る奴があるかぁーーーーーー!!!!!!』

新婚夫婦が、親と揉めていた、あの家。
何だか夫の扱いが相当酷かったような気がしていた。
まぁ、アレがあの家固有の幸せの形なんだろう。
その家の敷地内と思われる場所には、骨が二つ転がっていた。
家の中から出なかったのだろう。
覚悟が出来ていたのか。
それとも、もう諦めていたのか。
逃げた様子は無い。

「……」


また歩き出す。
左側。

『おぉ、お客さんかい?』
『橋が落ちてからめっきりと客が減ってねぇ…あ、関係ないか、ははは!』
『あぁ、10シルバだよ。ん…ありがとさん、ゆっくりしていきな』

シイルの宿屋。
朗らかだった、おじさん。
その家の中、いつもその人がいた場所に、骨が転がっていた。
いつもどおり、店をやるようにしたのだろう。
精一杯の抵抗だったのだろう。
怯えずに、普段どおり振舞う事が。
ふと、一冊のノートが目に入った。
パラパラとめくっていく。
今まで宿泊した客の名前が書かれている。
どうやら宿帳のようだった。
めくって見ていくと、最後は前日までで止まっていた。
そして閉じようとした瞬間、まだ文字があることに気付いた。
それは、宿帳の最後のページ。

『旅人さん、アンタの戦い、最後まで見ていたよ。
 わしらのために戦ってくれて、ありがとう。
 天国に着いたらタダで泊めてやるからな、約束だぞ?』

パタン
今度こそ、宿帳を閉じた。

「……」
『マコト様…』

その腕は、宿帳を閉じたまま、ぶるぶると震えていた。


また歩く。
町の奥。
その左側。

“薬屋 ユーミス堂へようこそ”
『良かったら、また来てくださいな』

壊れた壁に残った看板が、余計に淋しかった。
中に入る。
薬棚はズタズタに引き裂かれ。テーブルは足から大破していた。
その奥の部屋。
だった場所。
隔てていた壁は見る影もなく壊されていた。
家の奥。
一番隅。
そこは、白い髪の少女がベッドで寝たきりでいた場所。

『あのね…お話、してもらっても良い、かな…?』

楽しいひと時を過ごせた場所。

『え、あ、い、いらっしゃいマコトさん!』

必死で隠そうとしたけど、バレバレだった。

『え、あのね…今お守りを作ってるんだけど…目が見えないから上手く作れなくて…』

指に付いたいくつもの傷が痛々しかった。

『だから…恥ずかしいから…』

けど、嬉しかった。

『出来上がったら、お兄さんにあげるね?』

その、お守りだろう。
ウリユがいた場所に、一つだけ落ちていた。
木彫りのペンダント型。
首に付ける紐を通す穴だろう、上部に穴が開いていた。
だが、紐は通っていない。
そして、その裏には。

『オニイサン アリガトウ』

ぎこちない字だが、確かにそう書いてあった。
膝を付き、お守りを握りしめる。

「なんだろうなぁ…偉そうな事言っといて…」
「ただ、根拠の無い自信を並べて…」
「運命をかえてやる、なんて…」
「何もできないじゃないか…」
『マコト、さま…』
「何も…何も守れないじゃないか!!!!!」
『マコト様!!!』

無力感で出た自分自身への蔑みを、スケイルが大声で叱責する。

「ごめん…」

誰にでもなく、そう呟いた。

「…ふ、うっ………」

必死に堪えるが、ダメだ。
もう、抑えなんて効かなかった。

「ごめん…ごめんなぁ、ウリユ……」

あの笑顔を見られない。
あんな辛い顔が、最後の思い出。

「俺…守って、やれなかっ…」

色々な思い出。
出会ってから4日だったが、何にも変えられない思い出があった。
それを失った悲しみ。
自分の至らなさで。
それが何よりも辛かった。

「あ…あぁ…」

その全てを、叫びに変えた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

泣いた。
恥も外聞も、何もなく。
生まれて、初めてだろう。
泣き続けた。


どれほど時間が経っただろう。
声を上げすぎて、少し喉が痛い。
立ち上がる。

『マコト様…勝ちましょう、絶対に…今度こそ…!』

そう、スケイルが声を絞り出した。

「あぁ…」

そう答えたマコト。
その姿を見たスケイルは、恐怖を感じた。
自分がダメ押しの言葉を吐いた事も分からずに。
ただ、恐怖した。











この夜の出来事。
流れた液体。






それら全てを洗い流すように、未だ雨は降り続いていた。

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さぁて、一ヶ月ぶりに更新しました、第八話です。
シイル防衛戦は敗北です。
コレが彼の今後の旅にどのように影響するのか!?
期待大です!!

…いつになるかは知りませんが(マテコラ



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