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Fifteen Rebirth-生まれ変わり-



―――――あのね、聞いてくれる?―――――


―――――ずっと暗〜い穴に閉じ込められてたんだ――――――――


―――――そしたらね、お兄ちゃんが助けてくれたんだ――――――――




―――――とっても嬉しかったんだよ?―――――――




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Fifteen Rebirth‐生まれ変わり‐
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第五話






現時刻 8:49

もう朝だというのに、マコトは未だ暗闇の中に居た。


「暗いなぁ…」

『そりゃそうですよ、洞窟ですし』

「まぁ、そりゃそうなんだが…」


砦での出来事の後、エージスという老戦士をリーリルまで運んだ。

クラートという、リーリル唯一の薬剤師のもとへと。

その老戦士には、少量ずつながら毒が盛られていた。
そのために、薬剤師の権威であるクラートを訪ねたのだ。
しかし、その毒は、彼にもどうしようもないものだった。
なんでも、竜人特有で独自に使用されているため、こちらではまだ解毒法が分からないとのことだった。
古い文献を早急に漁ってみるとのことで、こちらの方には、旅で回りながら探してくれと頼まれたのだ。


頼まれた事自体はいいのだが、実際に何をすればいいのかがわからない。
なので、とりあえず、竜人特有とのことで、街が無いといわれている、南東の方に向かい、その途中で見つけた洞窟に入っているところだった。
街から離れたのは、他にも理由があるのだが。




『にしても、腰の荷物が軽くていいですねぇ…』

「それは言わないでくれよ…」

皮肉交じりに言われたその言葉に、もうこりごりだと言わんばかりの言葉で返すマコト。

『全額使い切るなんて…何考えてるんですか…』

「だから言うなって…」

その、全額を使いきった一部始終は



――――え、あ、あの…これを……?――――

――――この薬で弟さんが助かるんですよね?――――

――――は、はい…そ、そうなんですが…こんな高価な薬をもらうわけには――――

――――丁度見つけて、話も聞いていましたし。それで買ったんですよ。自分は治癒のフォースが使えるので、別に必要はないですし――――

――――……あ、ありがとう…ございました!でも、お返しが…――――

――――…貴女の辛さがなくなったのが、俺は何より嬉しいんです。だから、良いんですよ――――

――――でも…そうだ、コレを…――――
そう言って棚から何かを取り出して持ってきた。

――――?これは…?――――
それは、何らかの文様が刻み込まれた、石版の一部のようなものだった。

――――昔、よくしてもらったおばあさんに貰ったものなんです…。
私も用途が全く分からない物を渡すのはひけたんですが…他にお返し出来るようなものも……――――
そう言って申し訳なさそうな顔をするシズナ。
マコトは、その印を手に持って暫く見つめた後、こう言った。

――――分かりました。ありがたくいただきます。あとで美味しく、ね――――

――――…え、えぇっ!!?――――
あまりの突発的な発言に、シズナは柄にも無く目を見開いた。
それを見ながら、マコトは笑っていた。

――――冗談ですよ――――
それを聞いたシズナも、ほっとした後に笑った。

――――フフフ…マコトさんって、面白い方なんですね――――
安堵の後の、本当の笑顔。
それを見てマコトは、本当にこうしてよかった、そう思えた。

――――…その笑顔が見れただけで、俺は満足です――――


そう言って微笑むマコト。

そんなクサい台詞を言われて、真っ赤になるシズナ。

そして、マコトの後ろで異様なオーラを放ちながら浮かび続けるスケイル。


そんな、俗に言えば『面白い』構図が展開されていたのは別の話。




「お、出口か」

『結構短かったですね』

「あんま長くても理力が持たない」


実は、洞窟の中は真っ暗なため、松明代わりに、指先に最弱の火炎を発動しながらの探索だった。
まぁ、戦闘時に影響があるほどではないが。

『フフ、影響するほどじゃないでしょう?』

「まぁ、そうなんだがな」

楽しそうに指摘するスケイルと、ばれて先の言葉が繋がらなくなったマコト。
そんなやり取りをしながら洞窟を出た。



――――え〜ん……だれかぁ〜……――――



声がした。

子どもの声が。


出た先は、既に森。


「…まさか、こんなトコで迷子…?」

『変ですねぇ』


――――暗くて……怖いよぉ…ヒック…――――


不審に思って辺りを見渡すと、点々とではあるが、穴があった。

「…なぁ、もしかして…」

『この穴のどれかに落ちてしまった可能性もありますね…だとしたら助けないと!』


「おい、お前、こんなトコで何してんだ」


そう言って急いで捜そうとしたとき、声をかけられた。

見れば、人間の兵士。
少しホッとしながら話しかける。

「いや、旅の者だが…迷ってココに来たもんで」

「旅のモンか。すぐにココから出てった方がいいぜ」

「『?』」

「トカゲの住処らしいからな。命が惜しければ、の話だが」

「はぁ…」

そう話していると、また声がかかった。

「ほら、俺等は忙しいんだ。用事が無いならさっさと行きな」
「あ、あぁ…」

そう言った後は、一瞥もせずに何かを捜し始めた。


『どうします?』

「どうするたって…この声は子どもの声だし…」

今も微かに聞こえる子どもの泣き声。

どうやらこれらの穴は落とし穴のようだ。
この辺りで遊んでいた子どもが誤って落ちてしまった、と言うことも考えられる。
そうだとしたら放っておけない。

暗闇に震えながら助けを待っていると考えると、兵士がいるからと言えど無視するわけにはいかなかった。

「とりあえず、森の奥のようだな」

声を頼りに奥へと進んでいく。
やがて、一つの穴から、さっきよりもはっきりと泣き声が聞こえた。

「お〜い、大丈夫か〜」

「えっ、ヒック…だ、誰…?」

「気にしてる場合か。今から助けてやるからな」

そう言ってうつぶせになり、穴の底へと手を伸ばす。

「届くか〜?」

「もう…ちょっと…」

「そうか…よっと!」

そういうとヘソの辺りまで乗り出し、半身を穴に入れた。
ようやく手をつかんだ。

「(…?やけに冷たいし…ざらざらしてるな…)」

人の手にしてはやけに冷たい。
それにざらざらしている。

「(そうか…落ちて大分経っていたんだな…)」

必死に登ろうとした傷と、寒い場所にいたためだろう。
そう、思っていた。

「せ〜のっ…!」

掛け声とともに一気に引っ張り上げた。
と同時に飛び出してきた。

「うゎっ、危な…!」

理力主体とは言え、マコトはトーテムの加護を受けて肉体強化がなされている。
それをすっかり忘れて引っ張り上げてしまった。
慌てて受け止める。
そして、マコトが抱える形になる。

「う、うぅ〜ん…」

「大丈夫だったか…!……?」

ふと気付いた。
放り投げられた恐怖で無意識にマコトの服を握っている、その手。

その手の色は、緑色だった

「ありがとう…」

そう言って顔を上げた子どもと目があった。
丸くて、赤い目と。


暫く硬直。


『まぁ、可愛い♪』

「お、おぉぉ…」

紛れもない、小さいが竜人だった。


「え、あ…あの…」

見るなり、奮え出した。

「も、もしかして…ニンゲンなの…?」

疑惑による不安のための、奮え。

「(まぁ、一応そうなるんだがなぁ…)」

「ん?そうだけど…」

そういった瞬間、ビクッと跳ね上がり、ガタガタと今までに無いほど震えだした。

「た、食べないで〜…ボクを食べてもおいしくなんかないよぉ〜…」

「?ちょっと待て」

怯えた理由が、それなのか。

「俺が、君を?そんなことしないよ」

「…え?」

ゆっくりとこちらを見る。
少しだけ、警戒心を薄めてくれたようだ。

「なんで食べられると思ったんだ?」

「だって…ニンゲンに捕まったら食べられるぞって…」

「そうか…俺はそんなコトしないんだけどなぁ…」

「そうなの…?」

「あぁ」


どうやら、竜人達も子供に同様の教育を施しているらしい。
要するに、敵側の種族を見たら、即逃げろということだ。
それで一番怯えさせるのに効果的なのが、「つかまったら食べられる」というものだ。

「う〜ん…にしても、どうするかな…」

見つけたはいいものの、どうすればいいか分からない。
なんとなく、さっきの兵士達には知らせる気にはなれなかった。
そんなとき。

「おい、お前」

そう、声がした。




     #




「どこにいったのだ…」

そう言ったのは、セタ。
竜人軍の、副隊長である。

「確かこの辺りのはずなのだが…」

ココに、テサという名の竜人の子どもを捜しに来たのだ。
テサが遊びに行ってから30分後。
その友達が泣きながら帰ってきた。

「テサ君が消えちゃったよぉ〜…」

門番は、テサが帰ってくるのを見ていない。
迷子になっているのではないかとセタに報告に来た。
丁度手が空いていたので、捜しに来たのだ。
ニンゲンに出くわしたときのために。

「しかし…この穴は…急がねばなるまい…!」

そう言ったセタの横には、落とし穴がある。
これにかかってしまったのであるとしたら、急がなければテサが殺されてしまう。

「テサ……!」

そう言って駆け出した。




     #




「…見つけたのは、お前か」
そう問うのは、兵士。

「あぁ、そうだ」
答えるは、マコト。

「…よし、2000シルバやる。そのガキをこっちに渡せ」

そんな商談をもちかけてきた。

「その前に、この子をどうする気だ」

「んなのお前に関係ねぇだろ!
 …よし分かった。3000シルバやろう、よこせ!!」

金で解決しようとしていると分かったマコトは、あざ笑った。

「答えられないなら、イヤだね」
挑発的な言葉で返す。

「っ!…んのヤロウ!!」

『どうします?この人達と戦わなくてはなりませんが…』

「(だから?)」

『…へっ?』

「(だからどうしたって言うんだ。俺的に許せないんでね、こういうのは。
スケイル、お前はこういう時素直に渡すか?)」

『そんな下種(げす)に渡すわけないじゃないですか』

「(だろ?だったら話は早い)」


「しょうがねぇなぁ…だったら力ずくでも渡してもらうぜ!!」

そう言って剣を抜く。

「……やってみな。命が惜しくなかったらな」

挑発して剣を抜く。

「んのクソがぁ!!!」

見事に挑発に乗り、剣を振りかざしてくる。

が、やっぱり遅い。

しかも、あの竜人兵士よりも遅く感じた。
もはや止まっていると言っても過言ではない。

そんな遅すぎる剣撃を、踏み込みで前に屈み込み、避ける。

「!!?」

そして、驚く兵士を尻目に、下段に構えていたロングブレイドを斜めに振り上げる。

ザシュ

入った。
胸当てと腰当ての間に入る、逆袈裟。

「が、っは…!!」

臓器を傷つけられ、気管に入った血液を吐き出す兵士。
そのまま倒れこんだ。

それには目もくれず、振り上げた腕をそのまま頭に回す。
そこには、右斜め前からの振り下ろし。

それを、剣舞踊よろしく受け止めた。

「…ぐっ…!」

力で強引に押そうとするが、こんな細身の青年のどこから力が出ているのか、全く動きはしない。
そして、マコトはゆっくりと掌を兵士に向ける。


「…火炎」


高密度に圧縮された炎が発現する。

兵士に直撃。

「ぎゃっ……!!!」

叫び出す前に、一瞬で炎に包まれた。

1分くらい経過しただろうか、炎は消えた。
その中には、丸焦げになった何かが転がっていた。


「…ふぅ」

緊張を解いて大きく息を吐く。

「あっ…」

そのマコトの後ろから、恐る恐る顔をだしたのは、あの竜人の子ども。

「こ…このひとたち、しんじゃった、の…?」
そう言って怯えるその子に、振り向いてしゃがみこんでこう言った。

「怖い人が居なくなったんだ。怖がらなくていいんだぞ」
やさしくそう言って頭を撫でてやる。

「う、うん…」

少し震えが収まったようだ。




「何だ、騒がしいな…」

そう言って現れたのは、セタ。
目の前に広がる光景を見て、驚愕した。

「こ、これは…!」

目の前には、血まみれのニンゲンの兵士と、その仲間と思われる黒焦げの物体があった。

「!貴様!!」

その先には、テサと、砦をたった一人で落としたあの黒き鬼が居た。
テサの頭に、掌をかぶせて。

「その手をどかないか!!」

今にもセタが、『火炎』で消し炭にされそうになっている(ように見えた)。
この前の戦闘では負けていたが、ココで怖気づくようでは副隊長、いや一人の竜人としてやっていけない。
だが、予想とは違い、男の顔はきょとんとしていた。
そして、裏切られたのはもう一つ。

「あ、セタ様!!」

テサは気付くなり満面の笑みで駆け寄ってきたのだ。

「…これは、一体…?」
その黒こげと血まみれのニンゲンを見て、ふと気付いた。

「まさか…!お前が、この二人を…?」

「ん?あぁ、そうだけど」
『(話し方が軽いですねぇ…)』

「ぼくをつれていこうとしたひと、ころしちゃった…」

「そうか…何もされなかったんだな?」

「うん…」

それを聞いたセタは絶句した。
あれだけの竜人を殺しておきながら、今ここでは、テサを兵士に差し出さなかった。
何故だ。

「何故だ…」

「ん?」

「何故…何故同族を殺してまで、この子を助けたんだ」

当然の疑問。
目の前に居る男は、紛れも無くニンゲン。
そして、強い。

いつもの強いニンゲンのように、大量の竜人まで殺して――――

「そうか…お前は、砦でもそうだったのだな…
 警備に参加している者達だけであったな…それ以外は、全くと言っていいほど殺さなかった…」

そう、撤収した後にわかった事である。
全員、住んでいる家族や、休憩中の者達は全員生きていたのである。

そして、今。

「今も…お前はこの子を、同族を殺してまで、守ってくれた…」

「砦の牢を捜すまでに、見つかってしまったからな。
 元々隠密なんて出来やしないし」

『この人たちも、申し訳ないけど許せません』

「そうだな、こいつらの金でその子をとろうとしているのが、腹が立ってな。
 それで拒否してたら、襲ってきたし」

そんな話を聞いていたセタは、余計にこの男が分からなくなっていた。

「…不思議なやつだな、お前は…」

しかし、何故か共感が持てた。
割り切っているのだ、この男は。

「…私は、セタ…砦の副隊長…だった者だ」

「俺の名前は、マコトだ」

「そうか、マコトか…
 マコト、この子を助けてくれた礼だ。これを持っていくといい」

そう言って差し出されたのは、何かの草だった。

「これは、マニミア草という、解毒草だ。
 これで、あの牢に居たニンゲンの毒を中和できるだろう」

「…そうか、ありがとな」

「ではな。またどこかで会う事もあるかもしれない…
 その時は、『戦士』として戦わねばならないかもしれないが…」

『…でしょうね』

「そのときは、正々堂々と戦いたいものだ」


「あぁ…」

そう言って、別れた。



その後マコトは、急いでリーリルに戻っていった。




     #




「…行方不明になっていたテサを救出したしました」
そう言って膝ま付くのは、竜人セタ。

「ほぉ…なるほど、それは良かった」
その先に仁王立ちしているのは、全身が銀で、セタの身長の倍はあろうかという大きな竜人。

「……」

「どうした?」
その問いかけにも少しの間黙っていたセタだったが、やがて口を開いた。

「実は…テサを助けだしたのは…」

「ニンゲンだったのだろう…?
 そのくらい、先に報告した者から聞いている」

「…そうなのです。何故かあの男は、同族であるニンゲンを殺して、テサを助けていた…。
 何故なのでしょう…」

そんな思い悩むセタを見て、その竜人は怪しい笑みを浮かべた。

「気になるのだろう?」

「は、はい…」

「それほど気になるのなら、調べればいいだけのことだろう?」

「は…?」

「お前に、ニンゲン勢力の潜入調査の任を与える」

「は?し、しかし…」

「何か問題が…あぁ、そうか…その姿ではさすがに難しいな…」

「いえ、そうでは…」

「その辺りは任せておけ。
 …フフフ…あの死に損ないとは違って私にとっては造作も無い事だ」

「いえ、ですから…」

抗議をしようとするが、全く聞いていない。
そんな馬耳東風な魔王に少しあきれていたが、いきなり眼前に掌が置かれた。
そして、目の前が淡い光に包まれた。

「フフフ…これで問題はあるまい…ん?」

そう言われて目を開ける。

まず目にはいったのは、腰ほどまである長い黒髪。

そして、自分の腕をみて、驚いた。

先ほどまで、暗い紫色の、爪が伸びていた腕が、肌色になっている。
何より手の形状が違う。

「これは…」

「ホレ、鏡」

そう言って魔王が差し出した大きな鏡。


そこに映し出されていたのは、初対面の、ニンゲンの女だった。



「へ…?」





あまりの衝撃に、セタは間抜けな声を出したまま固まってしまった。

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コピペで一気に作業時間が減った長編連載小説の第五話。
セタさんがついに人化しました!!!ヒャッハァ!!!!!!!!!(ウザ
ムフフフ…これからどうなっていく事やら…ウフフフフフ…(キモ
というのはおいといてw竜人とかに偏見を持たない彼ですが、さすがに引き上げた瞬間だけは驚いた様です。
そりゃ、思ってた色と視界に入った色がまるで違えば驚きますわな^^;



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