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Fifteen Rebirth-生まれ変わり-



――――もう、だめだ―――――


―――そんなときだった―――


――――感じたのは、一つの熱――――




――――そして、見える以上に大きな、背中――――





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Fifteen Rebirth‐生まれ変わり‐
================



第二話





(さて、自己紹介もすんだ事ですし、行きましょう!)

「…楽しげだな、スケイル…」

ため息混じりにそう呟く。
いきなり会ってこのテンションは相手にすると疲れるものだというのが今回分かった。

(あ、そうだ、補足をしておかないといけませんね)

「補足?」

(私たちトーテムには、それぞれ特殊能力があるんです)

「特殊能力…?」

(クロウには、スキル『防御』が使えることですね。フェザーには高速移動、そして私には、水中で呼吸が出来るという利点があるんです)

「水中、か」

(えぇ、ですから、私は比較的他の方よりも自由が利きます。
 まぁ、それ相応に危険度は増すわけですけど…)

「違う場所に行けば、それだけ違う環境になる。
 …今の状態じゃつらいなんて事もありうるわけだな?」

(そういうことです)

この発言は、言い換えれば、自分にそんなに力が無いと暗に言っていることになる。
分かっている。
自分はこの世界に来たばかり。
選ばれたらしいが、正直言ってそんな力があるとは思っていない。
何故自分が選ばれたかも分からないのだ。
それも仕方ない事である。

(因みに私、肉弾戦は得意ではないですので、肉体強化面に劣ります。
 私は理力を使うのが得意ですのでフォース攻撃に特化する傾向がありますね)

「理力?フォース?」

(フォースというのは―――――)





ガサッ




小さく音がした。




そして感じる気配。


一気にこちらに近づいてくる。




それに、気付いた。





とっさに体を低くする。


その上を、何かが通りすぎた。






「っ!!」

(マコト様!)

そちらを向く。
黒ずんだ茶色の毛並み。
だらしなく流れ落ちる液体。
低くのどから鳴る音。
そして、獲物を見つけた、その餓えた目。

狼だった。



(マコト様、大丈夫ですか!?)

「あぁ、大丈夫だ」

(狼ですね…いきなり来るなんて…
 とにかく話は後です!マコト様、腰に剣があるはずです!とりあえずそれを使いましょう!)

「腰…?ホントだ、いつの間に…」

(無いと困りますので)

「初期装備ってヤツか」
(?)

スケイルの疑問を無視して、ショートブレイドを構える。




     #




何か目線がキョロキョロ動いている。


隙だらけだ。



コイツ馬鹿だ、そう思った。




そして、躍動する。


今のうち、そう思って。





目の前の獲物の、喉を目掛けて。







そうやって跳躍を始めた瞬間、獲物の長さが縮んだ。



内心驚くが、もう跳躍してしまっている。



もう、どうしようもない。






そして、腹部に走る痛み。



反射的に出る、喉からの音。



それが自分の声だと気付いたときには、もう動けなかった。




     #




横合いに振り抜いた剣が、狼の腹部を切り裂く。

「ギャイン!!」

響く叫び声。




そしてそれに遅れて落ちる、鈍い音。

剣の血を払い、振り向く。

びくびくと痙攣している。




(すごい…)
スケイルは、その光景を呆然と見ていた。

いや、見ていることしか出来なかった。
と言うより、何かする前に終わってしまった。

(凄い…凄すぎますよ、マコト様!!)

「…ぷはぁっ!」
(?)
 
「はぁ…はぁ…はぁ…き、キツ…」
(……え?)

「やった…のか…」
(…なんですかこの差は…)

どうやら一気に集中力が増すタイプらしい。
そう判断した。

「それで、さっきの話は?」
(え、あ、ハイ―――――)

それからマコトは、理力及びフォースについての説明を聞いた。
最後にスケイルが

(暫く要らないとは思いますけどね)

とか言っていたが。



(とりあえず、この近くの町に行きましょう)
「それもそうだな、色々と見ておかないとな」

そうして、近くの町へ向かう事になった。




     #




「……」

(だ、大丈夫ですか?)

「…いや、痛くも無いんだが、何か腹立つな…」

(いきなり失礼ですよね、あの兵士さん)

「いや、急いでたみたいだからいいけどさ…」

(ついて行ってみます?何か話が聞け…)

「ムカつくからやめとく」

(えぇーー!?)


そんなやり取りをしていた。


「ん?」

(どうしました?)

「いや…あの路地裏気になるな…」

(いいですよ、街では時間が経過しませんし
 一通り回るのも悪くないですよ)

「何つーシステムだ…」
そんな事を言っていても仕方が無いので、入ってみた。




「…なんだったんだい、あの兵士は…人の仕事の邪魔してからに…」

そうぶつぶつ呟いている。
フードを被った老婆だ。
何気に、只者ではない雰囲気を醸し出している。

「おや、アンタ良い眼をしてるねぇ」
「?」
(何の事でしょうね?)

「あたしゃね、人の眼見れば大体どんなヤツかなんて分かるのさ」
「ほぅ…」
(凄いといえば凄いですが…なんだか都合がいい気もしますね)
そうケチをつけた。

モチロン、マコトではなく、スケイルが。


「うなぎに言われるとは心外だねぇ」


「!?」
(う、うな…!!?)

(し、失礼な!!わ、私は鱗類…竜なんですよ!!?
 う…うなぎだなんて…失礼しちゃいます!!)
いきなりのうなぎ扱いに、心底腹を立てたスケイルだったが、マコトは別のことが気になっていた。

「アンタ…見えるのか…?」
(!!)

先ほどの兵士にしても、門番にしても、後ろにこんな得体の知れないやつが浮いているのに、まるで見えていないように普通に通過していたのだ。
スケイルに聞くと、トーテム能力者しか見えないらしい。

(そうですよ…私の声が聞こえてるんですか…?)
「ま、こう見えて只モンじゃないからね、あたしゃ」

「…自分で言うか、普通?」
「さて、何か困っとりゃせんかね?
 例えば…どこ行ったら分からない、とか」

「(流された…)あぁ…まぁ、その通りだ」
本当はこの世界自体が分からないのであるが、何にせよ話が聞けるというのはありがたい。
占いやら何やらに従う事は、人に流されている、ととる人もいる。
だが自分は、そうは思わない。
助言も占いも、聞き入れるかどうか、それを自分で選択すればいいのだ。

「んじゃ、占ってあげようかね…
 お金は要らないよ、ヒッヒッヒ…」

いかにも怪しげな声を出しながら、台の上の水晶を見つめ始める。
何も大げさな動きは無い。
これだけでも、占いの信用度が上がる、というものだ。

このやり方でやっていくには、当たってないと仕事にならない。
大げさな動きで注目を集めるのが目的ではないのだ。

「そうだねぇ…北にある小川を越えて右の方にいったところに洞窟がある。
 そこに行ってみるとアンタの助けになるものが合ありそうだよ。
 強い魔物も出ないし、行ってみるのをオススメするよ」

「そうか、ありがとう」
感謝の意を述べて、マコトは頭を下げた。

「いやいや、コレが仕事さね」

そんなやり取りで、その場を離れた。




     #




「酷い目にあった…」
(大分吸われましたもんねぇ…)

マコトは、助言どおりにあの洞窟に言ってみたのである。
そこには大量のコウモリがいて、噛み付かれて吸われまくったり、引っかかれたりでボロボロだった。

「まぁ、おかげで強くなれた気もするよ」
(何たってリクレール様ですからね)

その代わりと言うには大きすぎる収穫が、最深部にあった。


リクレールが残した、思念体である。

それによって、能力強化をしてもらい、行動力も早くなった。

(これで、フォースが使いやすくなりましたね)
「そうだな」


フォースで攻撃するときは、集中してそのイメージを固定する必要がある。
そのイメージを固めるのに時間がかかっていたが、これからは、今までの行動率が上がるためにそれをほぼ同時に行えるのだ。


モチロン、帰りに試して(コウモリで)わかった事だけであるが。






「……ろかな…」




「?」

何か聞こえた。

声が。

(どうしました?)




そのスケイルの声も無視して、近くの建物に近づく。

声が聞こえる。





気がつけば、ドアの前に居た。

より声が聞こえやすくなった。


「シン、今日も森に行ってくるね」

「…たった一人の弟だもんね…
 早く良くなってね…」

「じゃぁ、行ってきます…」
足音が近づく。


ガチャ

「あ…」

眼の前だった。

「あ、ど、どうも」
急な事で動揺してしまう。

「…すみません、私これから留守にしますので…
 用事がありましたら私が帰った後にお願いします…」

「あ、は、はい…」



それだけ言って、彼女は去っていった。
腰以上の黒髪を先の方で束ね、纏め上げている。
儚げな綺麗さを持っていたが、少しやせすぎているように見えた。

(今の方、察するに、弟と二人暮らしのようですね
 …しかし、武器も持たずに森へ…?
 いくらなんでも危険すぎると思いますが…)


「大丈夫なのか?」


(危険すぎますよ。狼だけでも危険だというのに、たまに竜人兵士も現れますからね)


「竜人?」


(竜人種族の兵士です。人間と敵対している種族ですよ。
 人間とは、もう長い事戦争状態にあるんです)

「そうか…」

(突然現れたそうなんです。
 リクレール様もその事を不思議に思っています)

「それを直せないのか?」

(リクレール様は、世界を創造したときに大半の力を消耗してしまったんです。
 それでも、私達トーテムを作り出す力や貴方を呼び出すなど、この世界に影響を与える事は出来なくもないですが…
 ご自分が顕現するなどの直接的なかかわりは出来ないのです)


「…そうだろうな。じゃなきゃ俺を呼び出す意味が無い」

自分ではもはやどうしようもない。
言い換えれば、見ていることしか出来ないに等しい。
それは、考えようによっては、つらい事ではないだろうか。


「まぁ、なんにせよ心配ではあるな…俺らもその森へ行ってみるか」

(え…?)

「そんな話を聞かされて、心配にならないわけも無いだろう?」

(そ、それはそうですけど…時間もあまり無いですよ?)

「だからこそ、だろ。
 何すればいいかも分からないんだし、目の前の困っている人たちを助けるのも悪くないと俺は思う」

(…ですね)

「なら決まりだ」

{マコト様…女性に優しすぎますよ…}

「ん?何か言ったかスケイル?」

(い、いえ!何でもないです!!)




     #




森。
まだ午前の明るい光が、木々の間から差し込んでいた。
そこを歩いているのは、女性。
何も持っていない。
いや、あるのは手提げの小さなかごだけ。

「今日はどこにあるんだろう…」

キョロキョロと周りを見る。
どこもかしこも深い緑色。
何も変化が無いように見える。


が。

「あ、あった…」

そう言ってある場所へ歩いていく。

そして彼女が屈み込んだ場所には、言われないと気付かない、しかし確かに周りの植物とは違うものが生えていた。

それを摘み取ると、彼女は微笑んだ。

「これで…今週もまだ抑えられるかな…」






ジャリ







音がした。


「!?」


驚いて振り向く。





その目の前には、日の光に照らし出された、銀。

銀の、鎧。


そして肌は、深い、黒とも思える、鈍い緑。




蜥蜴。



ただ、違うことがある。


尻尾があるというのに、仁王立ち。


そして




「何故、人間がこんなところに…!」


喋るのだ。




そしてその眼は、敵意に満ち溢れている。


「あ…あぁ…」



震えて、満足に動く事も出来ない。


後ずさりするのが精一杯だった。


蜥蜴が剣を振り上げる。


その先が、太陽に照らし出されてまぶしく輝いていた。




     #




『きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!』



「!!」
遠くで叫び声がした。

(マコト様、あそこです!!)

スケイルに言われて、そちらの方向を見る。


はるか先に、誰かがいる。


トーテムによって強化された視力は、常人をはるかに超越している。

そのおかげで、見えた。


剣が、女性に振り下ろされるのを。





ドクン

(今度は…今度こそ…!)


ドクン


(マコト様、誰かが教われてますよ、助けますかってうわぁ!!)

問いかけをしようとしたスケイルは、いきなり引っ張られて驚いた。





駆ける。




まるで、風のように。






しかし、視界のなかで、もう一撃剣を振り上げるのが見えた。


このままじゃ、間に合わない。



(マコト様、フォースです!!)

「何!?」


(私を選んでくださった場合、最初からフォース『火炎』が使えるのです!
 できるだけ強く、炎をイメージしてください!!)


炎。




イメージ。





燃える。



燃え続ける、赤。




その目の前で、剣が振り下ろされる。


(今です!!
 どちらでもいいです、掌を前に!!!)


とっさに、右手を前に。





その先から、あまりに巨大な炎が飛び出した。



一直線に、その兵士へ。




気付いて振り向いたその顔面に、直撃。




熱さで、叫ぶ。



そして自分は、跳躍。


モチロン、右脇にあるショートブレイドを、左手に既に持ちながら。




上から覆いかぶさる。






押し倒す。



両手で剣を逆手に持ち、上に振り上げる。


目があった。


あれだけの炎を浴びて、まだ眼が開いていられるのだ。



そして、脇腹に痛みが走る。



かまわずに、剣を振り下ろす。






鎧の隙間。




急所ののどを、直撃だった。




ブシュッ


返り血が紺のマントにかかる。



兵士の目は、白目を向いていた。





「うっ…」



左の脇腹に痛みが走る。


この兵士の、最後の抵抗。
脇腹を狙った一撃。


しかし、幸運な(竜人の彼にとっては残念な)事に、突き刺さってはおらず、脇腹から背中にかけて赤い筋を作っただけだった。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

倒した。



いや、殺した。



手に残るのは、最後の一撃。



あの、鈍い感触だけ。





(マコト様、大丈夫ですか!?)

「なんとか…な…」

そう言って、竜人兵士の上から降りる。


「あ、あの…大丈夫ですか…?」

その声にそちらを向けば、少しおどおどした様子でこちらを見ている、先ほどの女性。
その左の二の腕の外側に、赤い筋が出来ている。


「そちらこそ、大丈夫なのか?」

「え…あ、ハイ…この程度の傷なら平気ですから…それより貴方こそ…」

「こちらも大丈夫だ。思ったほど深くはない」

「でも…放ってはおけません…」

(貴女に心配されても困りますよ)
スケイルは少し機嫌が悪い。

「(聞こえてないだろ…)いや、本当に大丈夫だから」


「そうですか…」

「あ、あの…どうも、ありがとうございます…
 よろしければ、名前を教えてくださいませんか…?」

「名前?あぁ、マコトだ」


「マコトさん、ですか…私の名前は、シズナと言います…」

「マコトさん…本当にありがとうございました…
 …すみませんが、私、急ぎの用がありますので…これで…」


怪我をした状態で帰るのか。
その疑問が浮かんだ。

「このくらいなら、何ともありません…自分で帰れますから…」

そう言って、歩き出した。


(なんですか、助けたのにあの態度は…)
スケイルは愚痴をこぼしている。


その視界で、シズナが止まった。



そして、振り向く。


「あ、あの…本当に、ありがとうございました…!」


そう言った、その顔は、本当の笑みだった。




「…助けた甲斐が、あった、な…」

(顔が緩んでますよ、マコト様…)

「え、あ、そんなコトはないぞ!」

(ホントですかぁ〜?)


「…てか、なんでお前が気にするんだ?」

(え、だ、だって…)

そこまで言って、スケイルは黙ってしまった。


「誰かを守る、か…悪くはないな…」


これが、この世界に来て最初の、マコトの戦う意味だった。

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暴挙は分かりきっている長編連載小説の第二話。
テキストBBSの方では、「マコト君が強い」と感想を下さった方がいらっしゃいましたが、私はそうは思っていません。
弱いなりに、今ある最善の方法は何か、を必死に考えているんです。後はスケイルを無意識に選んだのですから、感覚的に戦略を立てるのが上手いのです。
後々やたら強くなりますが…w



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